後編です。
前回も触れましたが、私・夫、それぞれで、おそらく膵臓がんなのであろうとしじみとのお別れが近い事を想像し過ごした1週間でした。
申し合わせたわけではありませんが、2人とも口に出さず心の中で。今回、病理検査の結果を聞いた後、それぞれ同じ事を想像していたのを知り驚きました。
チーは今ほとんど家で仕事をしているので、1時間おきにしじみの生存を確認してたそうです。それが笑い話やオーバーねぇ、と言えないほどこのところのしじみは弱々しい様子でしたし、しじみを診た3人の担当医全員が「それ」の可能性を疑っているのも節々に感じていました。
なんで話さなかったの?と聞くと言霊というと変だけど、現実になりそうで怖かったから、だそうです。
私もおなじ思いでした。
これからも、家族で支え合う事が出来る喜びを感じています。
「あぁ、良かった。」をもうずっとずっと繰り返し繰り返し繰り返し繰り返しどちらからともなく言っています。
では、2月19日の記録です。
今回も、担当医の説明は丁寧でわかりやすく、非常に真摯にしじみに向き合っていただけているという印象でした。
前回も感じましたが、結果と見解の間の行間のような事まで説明していただけるというか。飼い主として、本当に納得かつ安心できます。それが麻布大学の方針なのか、担当医の方針なのかはわかりませんが二次診療を麻布大学にして本当に良かったと思っています。(内科であれば他の大学病院を選択していたかな)
細胞診検査報告書は3種類あり、それぞれの結果はもちろん、診断医のコメントが書いてあり、全ての報告書のポイントとなる箇所には、理解しやすい様に担当医によりアンダーラインが引いてありました。細かい事ですが、そういう所も好ましく感じます。それを元にまずは検査結果について細かく説明を受けました。
そのまま写真に撮って掲載したいくらいですが、報告書には公表する際には必ず当病院にご連絡くださいとの但し書きがありました。
人気やメジャーでもない密かな個人的なブログで公表にあたるのかなぁ?とはいえ詳細な転記は控えますね。
検体部位別にそのコメントのごく一部を抜粋します。
①膵臓腫瘤
膵臓の上皮細胞過形成もしくは腫瘍(細胞形態からは良性。形態に異常を呈さない膵がんは否定できない)を示唆する。
②膵十二指腸リンパ節
明らかに腫瘍を示唆する細胞は見られない
③嚢胞液
そのほかの細胞は嚢胞内部にみられる細胞であり、腫瘍を示唆する細胞は見られなかった
他に、細胞学検査報告書の膵のう胞液の培養同定は陰性。
また、猫膵特異的リパーゼの数値が高かったです。(11.8μg/L)
先ずは、一番恐れていた「膵臓がん」ではない、という事がこの時点でわかりました。次は、担当医による前回同様図解付きの手書きの細かい所見の用紙をもとに説明を受けます。赤字は私の補足です。
◾️考えられる病態
・膵炎→膵臓の仮性嚢胞、腹膜炎(現時点での1番闘うべき病名はこれで確定)
・膿瘍→細胞診、細菌の培養検査で否定的(現時点では、の但し書き付きでも嬉しい)
・腫瘍(一番怖かった膵臓がん)→細胞診検査で可能性は高くない。
(起こりえる症状)脱毛(しじみはない)、転移率高い(肝・リンパ節、腹膜など)(しじみは腹膜炎は起こしているが肝臓など問題ない)
予後悪い⇔臨床経過が長い。診断時には非常に進行していることが多い(しじみの今回の最初の異変は昨年9月であり、膵臓がんであれば転移がもっと広範囲で起こっているはず。※今後のことはわからないが、の但し書き付き。また、肺に関しては後述)
▪膵臓の仮性嚢胞(今後も経過観察が必要)
急性・慢性膵炎で一般的
膵炎の症状→膵管の破断、壊死、膵酵素の早期活性化
■今後の治療
・超音波ガイド下での吸引
前回、嚢胞内の液を抜いていただき実は唯一経過(効果)を楽しみにしていた処置。が、残念な事に今回超音波検査で確認するとまた元通りに・・・
ただし繰り返し行うと溜まらなくなる可能性もあり、様々な角度で経過観察及び処置のタイミングを検討。
・膵臓の治療→対症療法がメイン
※点滴:脱水・嘔吐・下痢がひどい時
点滴と併せた注射は1番効果を感じている。
①車で30分の距離だが、完全予約制で待ち時間が短いかかりつけ病院。急患対応は営業時間のみ。火曜日、祝日休
②(人気すぎて)待ち時間が長いが休診日がなく(但し、しじみの担当医の院長先生は木曜日、日曜日休)、診療時間も長め。夜間救急対応も可の近所の病院
※①②には、それぞれの存在かつデータ類(検査結果)は全て共有
③自宅(今度、病院で教わる)
上記から都度ベストと思われるものを選択肢し、点滴&注射は積極的に行う。
※制吐剤:セレニアや消化管運動を改善する薬
投薬はしじみにストレスを与えていると思われることから錠剤のままではなく粉状にし、水でときシリンジで与える方法に変更してみる。まずは「必ず飲ませ続ける」。
※栄養管理:あまりにも食べなければチューブフィーディング、食欲増進剤
出来る限り自力でたべるのを目標に。ただし状態に応じ強制給餌も。(将来的には口以外からの場所も)
※疼痛管理:お腹の痛みを緩和
一番優先したい項目。しじみの食欲にもおそらく直結している問題。これに関しては別途東洋医学も検討。
※抗生剤:感染所見あれば
※ステロイド
過去の経験からしじみには一番効果を感る。今後もポイント的に使用。
※手術:慎重に判断
しじみの嚢胞は門脈にべったりはりついており、外科対応は非常に厳しい。命に係わる状態になった際に究極の選択、的な感じか。
上記が、今回の検査で得た答えです。(端的にまとめており他にも細かい注意事項や医師の見解などがあります)
ハイリスクな検査でしたが、2回目の超音波検査で確認すると一番心配された膵液漏もなく、しじみにとってのベストを探るという目的は十二分に果たせてとりあえずホッとしています。
新たに発覚した肺の腫瘍については今現在1㎝未満程度のごく小さな状態なので、原発(膵臓とは別問題)なのか転移なのか定かではなく、当面毎月経過観察を行うことにしました。
心臓の雑音に関しては、甲状腺も同様に丁寧に経過を観察します。
<さいごに>
繰り返しになりますが、再度の二次診療を受けて、そして今回担当してくださった獣医師で良かったと本当に思っています。
想像を超えて「真摯、かつ前向きな方向性」での説明でした。
すべての説明が終わったあと、「とにかく日々薬をきちんと飲ませます」というようなことを話していると、先生が「頑張ってくださいね」と言ったあと「いえ、きちんと観察されて十分に頑張っていらっしゃいます。この調子で行きましょう」とさらりと言い直してくださりすごくうれしかったです。
キリッとした印象の先生でしたが、しじみの病理検査の結果のせいかこの日は朗らかな印象でした。良い先生とめぐり合わせました。
また、こうやって二次診療をうけたことによりかかりつけ病院の大切さも身に沁みました。結果としてかかりつけ病院の担当医の見解は全てにおいて適切であったと思います。
高度医療センターでの見解でCTをとらない事を選択したとき、ほんの少し担当医は残念そう(?)で、今回CTをとることを再度勧めてくれたのも担当医です。
しじみにとって対症療法しかない、という事を100%納得し、(全力で)対症療法にのぞんではどうか、とうい勧めは、改めてありがたいものであったと思います。
動物医療は相手が話さない分、そして私達夫婦に知見がない分、どこまでがエゴでどこまでが尽くすことになるのか非常に判断が難しいです。
その点でも信頼できる獣医師に出会えたことに心強さを感じています。
今回の診察で、投薬はこの3種類
今後については、上記に書いたように対症療法を欠かすことなくきちんと積み重ね、好転を目指します。経過観察も重要ですね。手を掛けられることがまだまだある事は喜びです。
経過観察は、麻布大学付属動物病院でしかダメ、という事ではなくかかりつけ病院との連携もとってくれるそうです。(今回の結果や所見も共有されるとの事)
車でないと通院が厳しいのですが腫瘍科は木・金曜日だけでチーが休めない可能性もあるため、その柔軟性も助かります。
いっそのこと私が免許をとろうかとも思いますが安全性を考えると、タクシーの方がまだ良いですね、きっと。ペット専用タクシーなるものもある様です。病院に置いてあったチラシでは我が家の距離だと往復3万円程度になりそう。
お金の話のついでに治療費も書いておきます。
前回は受付が閉まっていたので今回支払いました。
初回は診察料・超音波検査・X線検査・CT検査などなどなどなど4ページに及ぶ項目で¥133,818
2回目は点滴・超音波断層検査・薬などなどで¥14,302
街のどうぶつ病院と変わらない治療費の印象です。高度医療センターでではスクリーニングと画像診断で約9万円。CTを追加すると25万円以上という話だったのでかなり違いますね・・・・。今月すでに、しじののだけで医療費以外も合わせると20万円以上かかっています。
今後も医療費は相応にかかると予想されるので、その点からも正直ありがたいです。
では、長くなりましたが最後にかわいすぎるしじみの写真を見てください。
帰宅後、チーの膝で子猫みたい。ちいさくちいさくなったけど、しじみの存在は我が家でおおきなおおきな存在です。
やめれ。
病院で点滴と共に注射の効果か食欲も戻っています。もちろんこれからもアップダウンはあるでしょう。ですが、悪い想像を駆け巡らせただ怯えるのではなく、「痛いんだな。痛み止めはどうしよう」など具体的な対応を冷静にできそうです。
しじみの通院風景などかわいい写真がたくさんあります。それはまた次の機会に。。。
「明るさを取り戻した」しじみの小部屋、またのぞきにきていただけたら嬉しいです